1994年のJGTC開幕から現在まで数多くの熱戦が展開されたSUPER GT。その熱戦は2017年までで13カ所のサーキットで行われてきました。このシリーズは開催サーキットを紹介します。第5回は日本モータースポーツ西の聖地、鈴鹿サーキットを特集します。
歴史
鈴鹿サーキットは1962年に三重県鈴鹿市にオープンしました。このサーキットは全面舗装と観客席の両方を備えた日本初のサーキットです。長く日本モータースポーツの発展に貢献してきたサーキットで富士スピードウェイと並ぶ日本モータースポーツの聖地です。
本田技研工業がサーキットを建設して現在はホンダグループでモータースポーツ関連施設を運営する会社「モビリティランド」によって運営されています。場内にはレーシングコースの他に遊園地やホテル等があり、モビリティリゾート(自動車を題材とする行楽地)を形成しています。
建設当時の日本には舗装された常設サーキットが存在せず、ホンダの創業者である本田宗一郎氏はモータースポーツの普及のためには本格的なサーキットが必要であると確信し、自社で建設するよう命を下したと言われています。
かつてのホンダは2輪メーカーだったこともあり、開業間もなくしてから2輪のロードレース世界選手権が開催されるようになり、その後4輪のJAF日本グランプリが開催されました。
1987年からはF1日本グランプリが開催されており、途中富士スピードウェイに開催地が移った時期もありましたが日本ではF1=鈴鹿のイメージが定着しています。F1以外にもかつては全日本タイトルの全日本F2選手権とは別に鈴鹿F2選手権も開催されていた事もあってかスポーツカーレースが中心の富士とは対照的に鈴鹿はフォーミュラレースが中心となっています。
また、2輪の8耐や4輪の1000Kmといった耐久レースの開催も鈴鹿の特徴となっています。
コースの特徴
開業前の計画では現在のレイアウトとは全く違うものや、立体交差が3カ所存在するものなどレイアウトも試行錯誤が繰り返されていました。
初期のコースデザイン案では、ロングストレートが目立つ高速コースだった事が見て取れます。
現在のコースは開業時から安全性確保やF1開催基準のクリアなどで改修が繰り返されてきましたが、大きなレイアウト変更などはありません。
全長は5.807km(2輪では5.821km)で東西に細長く、中間部分の立体交差を挟んで右回りと左回りが入れ替わる、世界的にも珍しい8の字形のレイアウトとなっています。コース幅は10 - 16m。コーナー数は20。最大高低差は52m。世界の多くのサーキットと比べ摩擦係数の高いアスファルト舗装です。
土地の高低差と低速〜高速コーナーのバランスが上手く配合されており、難易度が高く走り甲斐のあるコースとしてF1ドライバーからも高い評価を得ています。
開業当時のコース全長は6.00415kmで現在は若干短くなっていますが、それでも国内のサーキットでは最長のコースです。
GT開催について
鈴鹿でのSGTレースは1995年に初開催。以降毎年レースが開催されています。
毎年1レースが行われていますが、2006年から2010年の間は鈴鹿1000KmがSGTのシリーズ戦に組み込まれたことから300kmのレースと1000kmレースの年2レース開催されていました。
レース開催時期については1000Kmは毎年8月下旬に固定されていますが、300Kmレースは度々時期が変更されています。
- 95年~99年・・・3月下旬、4月上旬(シリーズ開幕戦)
- 00年~01年・・・10月下旬(00年はシリーズ最終戦)
- 02年~05年・・・11月(シリーズ最終戦)
- 06年~08年、10年・・・3月中旬(シリーズ開幕戦)
この間鈴鹿は開幕戦、最終戦という重要なレースの舞台になっていました。
09年は鈴鹿の施設改修により、4月中旬に第2戦としてレースが行われました。これらは全てレース距離300Kmで行われました。
夏の耐久レースは何度かレース距離に変更が行われています。
- 06年~08年、12年~17年・・・1000Km
- 09年~10年・・・700Km
- 11年・・500Km
09年と10年は世界的な不況を受けて参戦コストの削減が図られ、700Kmに短縮してレースが行われ、11年にはさらに東日本大震災も重なったことで500Kmでレースが行われました。この間は「GTサマースペシャル」の名称で開催されました。
12年から1000Kmでのレースが復活しましたが、以前は日没後にチェッカーが振られたのに対し夜間走行を避ける為12年以降は日没前にチェッカーが出されています。
また、09年からこの耐久レースには時間制限が存在(レース開始から6時間、最大18時30分まで)しており、11年と15年のレースは規定周回数を消化する前にレースが終了しています。
鈴鹿サーキットでは18年からGT3マシンで争われる鈴鹿10時間耐久レースの開催が発表されており、この1000Kmレースは2017年が最後の開催となりました。
まとめ
近年は真夏の3連戦のラストと位置付けられており、ここがチャンピオン獲得へのラストチャンスとなっています。
毎年、チケットの売れ行きも上々のようでファンの期待の高さが感じられます。