1994年のJGTC開幕から現在まで数多くの熱戦が展開されたSUPER GT。その熱戦は2017年までで13カ所のサーキットで行われてきました。このシリーズは開催サーキットを紹介します。第8回は、過去の開催地から左回りの難コース、仙台ハイランドレースウェイを特集します。
歴史
仙台ハイランドは宮城県仙台市青葉区の山間部に所在した複合レジャー施設です。株式会社青葉ゴルフが営業、運営を行っていました。
1974年にゴルフ場、1981年に遊園地が開業しサーキットは1986年に開業しました。
当初の所在地は仙台市ではなく仙台市の西に隣接する宮城町だったことから施設全体の名称は「西仙台ハイランド」という名称でした。1987年に宮城町が仙台市と合併したことから1990年8月に「仙台ハイランド」に改称しました。
このサーキットではかつてのグループA既定のJTC、JTCC、N1耐久(スーパー耐久)、F3、そしてJGTCといった全日本格式のレースが多く開催されました。
しかし同じ宮城県内にスポーツランドSUGOが存在し、SUGOと比較するとサーキットのキャパシティが小さく、場内ビジョンが設置されていないことや、路面が荒れていること等設備の悪さが目立ち始めビックイベントの開催はSUGOに一本化されるようになり、2000年代中盤からは仙台ハイランドでのビックイベントはスーパー耐久のみとなりました。
その後はアマチュア向けの走行会、レースなどが主なイベントになり、自動車メーカーやタイヤメーカーのテストに用いられて来ましたが、2011年3月の東日本大震災でサーキット設備に甚大な被害が発生。長期の休業を余儀なくされました。
一時は復旧を果たしましたが、2014年3月に運営会社の青葉ゴルフがサーキットの営業終了を発表し、同年9月15日を最後に営業を終了し28年の歴史に幕を降ろしました。
併設施設も遊園地が2015年8月で、ゴルフ場も2016年11月で営業を終了しました。今後跡地にはメガソーラーが建設される方針となっています。
コースの特徴
全長は4,063m、コース幅は12~15m、最大高低差は37.3m。
国内のサーキットでは非常に珍しい左回りのレイアウトとなっています。
タイトなコーナーが連続する中速サーキットで他のサーキットと比べると路面のミューが低いサーキットとなっています。
ランオフエリアも非常に狭く、難易度はかなり高いコースでドライバーの中でも得意不得意が分かれると言われていました。
1991年にコース終盤の一部レイアウトが変更されており、上記の図は改修後のレイアウトとなっています。営業終了までこのレイアウトが用いられました。
その他にも全長700mの「テクニカルコース」とドラッグコースも併設されていました。
GT開催について
このサーキットでのGTレースは1994年から1998年までレースが開催されました。
1995年にはトヨタがスープラでGT初優勝を果たしたサーキットです。
開催時期は全て6月(1994年は中旬、それ以降は下旬)に開催されています。
レース距離は1994年のみ300km、それ以降は250kmでレースが行われました。
まとめ
筆者にとってはSUGOの次に足を運んだサーキットで、両親に連れられて初めて足を運んだサーキットです。
筆者の憧れの影山正彦選手と一緒に写真を撮って貰った事など、ここでの思い出も多くありました。
設備の面で物足りないサーキットではあったので、98年のN1耐久を最後に訪れることはありませんでしたが、営業終了のニュースには残念に思いましたし、もっと訪れればよかったと後悔しているところです。
報道を見ると既に施設は解体されたようで恐らく遺構は残っていないと思われます。
しかしこの難コースに挑んだドライバー、サーキットを埋め尽くした観客の記憶にはいつまでも残ることでしょう。