1998年に全日本GT選手権のGT300クラスに参戦を始め、2000年からはトヨタのセミワークスチームとして、現在のSUPERGTまで継続参戦している老舗レーシングチーム「apr」。今までには4度のシリーズチャンピオン獲得し、まさにSUPERGTにおける「老舗強豪チーム」として参戦を続けていますが、今回はそんなレーシングチームaprを、過去のマシンと共にご紹介します!
aprとは?
神奈川県厚木市に本社を置くapr(株式会社 エー・ピー・アール)。
1996年に「APEX Racing」としてチーム結成され、2000年に社名が今の「apr」に変更されました。
主に、レーシングカーの設計や製作・開発・メンテナンス、そしてレーシングチームの運営を行っている企業で、その他にもモータースポーツ活動によって培われた技術・データを元に、ロードカー向けアフターパーツやOEM製品・ワンオフパーツ等の開発も行っています。
あらゆるパーツ開発に、極限でのレース経験をオーバーラップさせ、テストのたびにエンジニアに厳しい要求を突き付けるテストドライバーと、イノベーションを忘れないエンジニア。
パーフェクトという唯一、共通の目的があるからこそ、完成したプロダクツには、ドライバーのフィールの領域にまでファインチューニングが施され、ポルシェが持つ無限のポテンシャルを、確実にパフォーマンスに結び付ける。
───エー・ピー・アール 公式ホームページ 会社概要から
モータースポーツで使われるレースパーツと同じ様に、一般のユーザーが利用するパーツでも開発に妥協はしない。
この姿勢が、SUPERGTという過酷なレースにおける優れた開発力・チーム力・勝利に繋がっているのではないでしょうか。
SUPERGTの前身である全日本GT選手権には、コンストラクターとして1998年にMR-2で参戦。
その翌年の1999年にはGT300シリーズチャンピオンを獲得しました。
その後も現在に至るまで、4度のシリーズチャンピオン獲得や数々の表彰台獲得をしています。
2012年には、「トヨタ プリウス」にてハイブリッドカー初のSUPERGT参戦をするなど、開発力・技術力は同クラスの他チームのみならず、国外のモータースポーツファンも一目置いています。
ある程度aprについて予習が済んだ所で、活躍してきた歴代のマシン達を見ていきましょう!
参戦2年目でのシリーズチャンピオン獲得 1999年 モモコルセ・アペックスMR-2
1998年の初参戦からたったの翌年、1999年にシリーズチャンピオンを獲得したモモコルセ・アペックスMR-2。
ドライバーは、新田守男選手・高木真一選手コンビ。
長年GT300クラスでペアを組んでいた両者ですが、チームが変わった今でもGT300の名コンビと称されていますね。
新田選手・高木選手が最初にペアを組んだのがこの1999年です。
第2戦富士で優勝、その後もポイントを着々と獲得しシリーズチャンピオンを手にしました。
2度目のシリーズチャンピオン獲得! 2002年 ARTAアペックスMR-S
2000年にマシンをMR-Sに変更し、スポンサーにオートバックスが付いた事から、ARTAのGT300クラスでオペレーションを担当する事となります。
体制が変更となって2年経った2002年。2度目のシリーズチャンピオンを獲得する事となります。
ドライバーは、1999年の参戦から引き続いて、新田守男選手・高木真一選手コンビ。
開幕戦である第1戦TIサーキット英田にて、見事優勝。
その勢いは最終戦まで衰える事なく、ポイントを毎戦獲得しシリーズチャンピオンに輝きました。
新マシン「ガライヤ」の登場、チームは3台体制に。2003年 ARTA Garaiya /RECKLESS MR-S/DENTAIRE MR-S
この年、オートバックスのオリジナルマシン「ガライヤ」が参戦となりました。
aprはガライヤの設計・開発を担当。
ARTAとは別に自チームからMR-Sを2台投入し、シリーズを戦いました。
ARTA Garaiyaには、昨2002年シリーズのシリーズチャンピオンコンビである、新田守男選手・高木真一選手が、RECKLESS MR-Sは、佐々木孝太選手・後藤聡選手がドライブ。DENTAIRE MR-Sには、西澤誠剛選手・松田晃司選手が起用されました。
MR-Sでは2度目、チームでは3度目のチャンピオン獲得。2005年 RECKLESS MR-S
全日本GT選手権から体制を改めて、SUPERGTとして開催される初年度であった2005年。
そんな記念すべきSUPERGT1年目の年に、シリーズチャンピオンを獲得したのはaprでした。
ドライバーは2004年シーズンまでドライブしていた後藤聡選手に代わり、2004年にGT300クラスシリーズチャンピオンを獲得し、別名「ジムカーナキング」の山野哲也選手が起用され、佐々木孝太選手・山野哲也選手コンビとなりました。
第1戦からポイントを重ね、第7戦オートポリスでは優勝。
勢いそのままに最終戦も見事走りきりシリーズチャンピオンを獲得しました。
佐々木選手は、自身初のGTチャンプ、山野選手は異なるチーム・マシンで2年連続チャンピオンに輝きました。
同一ドライバーによる異車種・異チームでのチャンピオンは初という快挙も同時になし得ました。
また、ARTA Garaiyaはシリーズ3位、APEXERA MR-S(吉兆宝山MR-S)はシリーズ8位と、aprとして調子が良かったシーズンでした。
SUPERGTにおける元祖「痛車」で、4度目のシリーズチャンピオン獲得 2007年 TOYSTORY apr MR-S
現在の2018年シーズンに至るまで、初音ミクや鏡音リン・レン、エヴァンゲリオンやイカ娘、の「痛車」が走ってきましたが、痛車の元祖とも言えるマシンが、このTOYSTORY apr MR-Sです。
ドライバーは、現在のGT500クラスでドライバーを務めている、大嶋和也選手・石浦宏明選手のコンビです。
第2戦・第4戦と優勝し、トータルで89ポイントを獲得しました。
ですが、この年は1位と2位のポイントが同率で、昨シーズン2006年から2年連続での同率1位となりました。
その為優勝回数でジャッジされ、2勝を挙げているTOYSTORY apr MR-Sがシリーズチャンピオンとなりました。
長年活躍してきたMR-Sの引退、それに変わる新マシンを投入 2009年 avex apr COROLLA Axio/COROLLA Axio apr GT
1999年のマシン投入から10年の節目の年に、MR-Sからマシンを変更する事となりました。
MR-Sに代わって投入されたのが、トヨタの「カローラ」。
カローラといえば、トヨタが誇るロングセラーカーで、日本の大衆車と言っても過言ではない車です。
到底、GTマシンの姿を想像できないものでしたが、見事にGTマシンとして完成された姿を見て、関心した事を今でも覚えています。
投入初年度は2台のカローラがサーキットを駆けました。
ドライバーは、31号車に坂本雄也選手・山内英輝選手のコンビと、74号車に井口卓人選手・国本雄資選手のコンビです。
山内選手と井口選手は現在、GT300クラスにてBRZをペアで駆っていますね!
シリーズランキングでは、10位と11位でしたが、様々なマシンが走るSUPERGTならではの車でした。
SUPERGT初のハイブリッドカーを投入!2012年 apr HASEPRO PRIUS GT
モータースポーツの世界では聞くことがなかった「ハイブリッドカー」という単語ですが、この apr HASEPRO PRIUS GTの登場により、新時代が拓かれました。
東京オートサロン2012にて車両が公開され、モータースポーツ界隈・日本の自動車業界以外に、海外から視線も集まりました。
そんな「ハイブリッドGTマシン」ですが、第3戦のセパン戦では、ハイブリッドを搭載せずに走行する事となりました。
その理由としては、危険物の輸出入に関する規制で、日本からリチウムイオン電池の持ち出しができないため、現状ではハイブリッド車両を国外に輸送するには特別な手段を使わない限り輸送できない事から、ハイブリッドシステムを搭載せずに参戦する事になりました。
現在でも、アイコスなどのリチウムイオン電池が使用されている電子タバコなどを所持・持っていく事が規制されている国などがありますよね。当時から今と同じ問題があった様です。
戦歴は、第6戦富士でマシン投入初年度にも関わらず2位表彰台を獲得。
シリーズでは10位となりましたが、今後の改良、開発やセッティングにより更なる速さが楽しみな年でした。
プリウスのモデルチェンジにより、GTマシンもモデルチェンジ! 2016年 TOYOTA PRIUS apr GT
2015年にモデルチェンジがあったトヨタ プリウス。
このモデルチェンジで4代目となりましたが、プリウスGTも一緒にリニューアル。
2015年シーズンでは、第1戦の岡山と最終戦のもてぎで優勝するなど、名だたるスーパーカーのGTマシンと遜色ない速さ、それ以上の速さで活躍してきましたが、新たなプリウスを投入する事となりました。
2016年シーズンでは2台のプリウスを投入し、ドライバーは永井宏明選手・佐々木孝太選手のペアと、嵯峨宏紀選手・中山雄一選手のペア。
31号車の嵯峨選手・中山選手のマシンはシリーズランキング2位、30号車の永井選手・佐々木選手のペアはシリーズランキング24位となりました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
名門コンストラクター・老舗レーシングチームであるaprを過去のマシンと共に振り返って見ましたが、当時観戦していた方にとっては懐かしいマシンもあったのではないでしょうか?
2018年シーズンもGT300参戦が発表されているapr。
4代目のプリウスで参戦するのは3年目なる2018年シーズンも、2台体制で参戦します。
ヨコハマタイヤを装着する30号車は、永井宏明選手・佐々木孝太選手のコンビで継続。ブリヂストンタイヤを装着する31号車には、GT500クラスから平手晃平選手・嵯峨宏紀選手のペアとなります。
30号車は昨年からのコンビという事ですが、31号車はGT500チャンピオン経験者の平手選手が加入する事で、チームとしてどの様に作用するのかが楽しみです。
2018シーズンも開幕まであと少し。
今年も台風の目となり、活躍して欲しいです!