1994年のJGTC開幕から現在まで数多くの熱戦が展開されたSUPER GT。その熱戦はこれまで13カ所のサーキットで行われてきました。このシリーズは開催サーキットを紹介します。第11回は過去の開催地から赤道直下の灼熱地獄、セパン・インターナショナル・サーキットを特集します。
歴史
セパン・インターナショナル・サーキットは、マレーシアの首都、クアラルンプール郊外のセランゴール州セパンにあるサーキットです。
1998年当時のマレーシア首相、マハティール・ビン・モハマドによる、近代化政策の一環として建設され、1999年にオープン。コース設計はヘルマン・ティルケが担当しました。
マレーシア最大のサーキットで、2017年までにはF1が、Moto GPでは現在までマレーシアGPの開催地となっており、2000年から開催されたJGTC・SUPER GTや、フォーミュラニッポンの開催実績もあることから日本のレース関係者・ファンにも馴染みのあるサーキットとなっています。
インターナショナルコース以外にも、カートコースやモトクロスコースがあり、敷地内には「マレーシアのトヨタ」と言っても過言ではない、マレーシアの自動車メーカー「プロトン」の歴史や、マレーシアにおけるモータースポーツの歴史などを展示・紹介した自動車博物館が併設されています。
コースの特徴
全長は5.543 km 。コーナー数は15。オーバーテイクを念頭にデザインされたことから、高速のロングストレートやタイトなコーナーが入り混じっています。
1コーナーや4コーナー、そして最終ヘアピンの15コーナーなどが追い抜きをしやすいレイアウトになっています。
13コーナーから14コーナーにかけては複合コーナーになっており、右へ曲がりながら減速をしなければならず、ミスをしやすい難しいコーナーであることから、このポイントがコースの見どころ。
コースレイアウトはオープン時から変更はありませんが、2016年には改修が行われて舗装が張り替えられた他、最終コーナーのイン側が1m盛り上げられて逆バンクとなりました。
GT開催について
このセパンでのSUPER GTは2000年のオールスター戦が初開催。日本モータースポーツ史上初の海外輸出レースとなりました。
翌2001年もオールスター戦を開催し、2002年からシリーズ戦としてレースが開催されました。
赤道直下のマレーシアだけに、クールスーツを使用しても毎年のようにドライバーが熱中症に見舞われるケースが出る等、マシンだけではなくドライバーにも厳しいレースが展開されました。
ここでのレース開催は全て6月に行われて、シリーズ前半戦の山場という位置付けのレースになりました。
レース距離は2011年のみ250km、それ以外の年は300kmで行われました。
2014年からはタイのチャーン・インターナショナル・サーキットでレースが開催されることからセパンサーキットは2013年を最後にカレンダーから外れました。
現在レースは開催されていませんが、温暖な気候の為冬のテストでは現在もセパンサーキットが使用されています。
中止例
2003年シーズンのJGTCではセパンサーキットでシリーズ第4戦としてレースが予定されていました。
しかしこの年、アジア地域で重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行。マレーシアでも感染例が確認された為レースは中止となりました。
このレースの代替イベントは2003年7月に富士スピードウェイで開催されています。
まとめ
現在のSUPER GTでは冬場のテストで使用されているサーキットです。
今後再びレースが開催されるかは解りませんが、これまでアジアでのSUPER GTの知名度向上に大きな貢献を果たしたサーキットだと言えるでしょう。
レースが開催されなくても、テスト地としてこれからもセパンサーキットはSUPER GTに欠かせないサーキットとなっていくのではないでしょうか。