1994年のJGTC開幕から現在まで数多くの熱戦が展開されたSUPER GTですが、その歴史の中では様々な「変わり種」と呼ばれるマシンが数多く参戦してきました。このシリーズでは、そんな「変わり種」「珍車」と言われるマシンに注目し、皆さんのご紹介します!
ランチア037ラリー
1994年の全日本GT選手権の第3戦にGT1(現在のGT500クラス)でスポット参戦。
ランチア・ラリーは、アバルトが開発を担当し、ランチアのブランドでフィアットグループが1982年の世界ラリー選手権(WRC)に投入したラリーカーで、グループB認証の為に150台前後生産したロードカー。
正式な車自体の名前は「ラリー」で、エンジン開発をしたアバルトの開発コードである「SE037」の037を取ってランチア・037ラリーと呼ばれています。
ボディデザインはピニンファリーナが担当。
ラリーを目的として開発されたマシンでは異端な、レーシングカーの様な洗練されたマシンデザインでした。
現在も古さを感じない・色褪せないデザインですよね!
MR方式を採用しているマシンで、WRCでは最後のMRでタイトルを獲得したマシンでした。
ROSS Competitionからロッソ ランチア037-MYZとして第3戦に参戦。
日本のJGTCには、レギュレーションに合わせて仕様変更されて参戦しました。
ドライバーは、当時全日本F3選手権などで活躍していた古谷直広選手。スポット参戦ながらも、ラリーで鍛えられたマシンのポテンシャルを発揮し、見事完走しました。
ただ、マシンのセッティングがラリーのクロスギアレシオのままの参戦で、ストレートの速度がGT2(現在のGT300マシン相当)と同じ程だったと言われています。
ストレートでは吹け切ってしまい、富士スピードウェイのロングストレートでは170km/hしか出なかったと言います。
この「ランチア・ラリー」は、今後のMR車開発に多大なる影響を与える事となりました。
1987年に発表・販売された「フェラーリ・F40」には、構造やセッティングに「ランチア・ラリー」の痕跡が見え、参考にしたのではないかと話題になりました。
また、1990年に販売された「ホンダ・NSX」の開発責任者であった上原繁氏は、「NSXの開発で最も参考にし、また影響された車はランチア・ラリーだった」と言及しています。
当時のNSXのターゲットだった車は「フェラーリ328」と言われていましたが、ランチア・ラリーが一番の参考になっていたんですね。